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全くあてにならない?交通事故慰謝料計算機の落とし穴

この記事の要点

  • 慰謝料計算機は、個別の事情を考慮していません
  • 実際より高く出ることも、低く出ることもあります
  • 結果が使えるのは、条件がそろった軽傷の場合だけです

交通事故慰謝料計算機とは

交通事故の慰謝料を調べると、「慰謝料計算機」というものが見つかります。

けがの種類、通院日数、後遺障害等級などを入力します。ボタンを押すと、慰謝料や示談金の計算結果が表示されます。

ご相談の際、事前にこれを使ってこられる方がいます。「本当にこの額をもらえるのか」というお尋ねです。

ところが、その方にとってはあてにならない金額であることが珍しくありません。

なぜ結果があてにならないのか

理由は一つです。計算機は、個別の事情を考慮しないためです。

理論上の一般的な数値を出しているにすぎません。実際の適正額とかけ離れることがあります。

具体的には、次の5つの理由でずれます。

過失割合が反映されていない

計算機には、過失割合を入力するタイプとしないタイプがあります。

入力しないタイプでは、ご自身の過失がゼロの前提で計算されます。少しでも過失があれば、金額は変わります。

入力するタイプでも、既に支払われた治療費の額を入れるものはほとんどありません。既払金を含めた過失相殺ができないため、適正な示談金額は出ません。

逸失利益が等級表どおりで計算されている

計算機は、後遺障害の逸失利益を、自賠責の等級表にある喪失率でそのまま計算します。

しかし、等級表の喪失率どおりに認められない後遺障害があります。鎖骨の変形や醜状障害(傷あと)などです。

また、減収がない場合はどうでしょうか。等級表の喪失率ほどには減収していない場合もあります。公務員など、減収が想定しにくい職業もあります。

こうした事案では、喪失率が低く認定されることが多くあります。計算機の額は、実際より高く出ています。

主婦や自営業の休業損害を計算できない

計算機には、休業損害の項目自体がないことがあります。あっても、会社員の分しか計算できないものがほとんどです。

主婦・主夫や自営業の休業損害は、数値を入れるだけでは算定できません。そのため、結果に含まれていません。

重い後遺障害に特有の項目がない

重度の後遺症が残った事案では、慰謝料や逸失利益より大きな損害が出ることがあります。

将来の治療費や、付き添い介護の費用です。計算機は、これらを一切考慮していません。

この場合、計算機の額は実際より大幅に低く出ます。

争点になる部分に対応できない

計算機では、治療期間、過失割合、後遺障害等級を、決まったものとして入力します。

ところが実際の交渉や裁判では、これらが大きく争われます。認定済みの後遺障害等級ですら争われることがあります。

計算機は、こうした「今後不利に変わりうる部分」を考慮しません。そのため、適正な額より高く出ることがあります。

結果を信用できないケース

次のうち、どれか一つでも当てはまれば、計算機の結果はあてになりません。

  • 重い後遺障害(植物状態・高次脳機能障害・身体の麻痺など)が残った
  • 被害者の職業が、主婦・主夫、自営業、会社役員、公務員である
  • ご自身にも過失がある、または過失割合に争いがある
  • 鎖骨の変形、骨盤骨の変形、圧迫骨折、醜状障害(傷あと)がある
  • 後遺障害が認定されたが、減収がまったくないか少ない
  • 治療費の打ち切り後、自費で治療を続けている

一つでも当てはまれば、計算し直しが必要です

すべてに当てはまる必要はありません。一つでも該当すれば、計算機の結果と適正額は離れます。高く出ているのか低く出ているのかも、項目によって変わります。

結果が概ね妥当なケース

もちろん、計算結果が妥当な場合もあります。

妥当といえるのは、次の条件をすべて満たしたときです。

  • むちうちや打撲などの軽傷である
  • 追突事故など、ご自身の過失がゼロである
  • 通院の頻度が週2回以上ある
  • 整形外科のみに通っている
  • 治療費の打ち切りがない
  • 治療期間が最長でも半年程度である
  • 休業損害がないか、会社員である

これらをすべて満たしていれば、計算結果は概ね妥当な金額になっているはずです。

計算結果が保険会社の提示額より高いとき

条件をすべて満たしていて、計算結果が保険会社の提示額を上回っている場合。

提示額が低すぎる可能性があります。弁護士基準で計算し直せば、増額できることが多くあります。

逆に、条件のどれかを外れている場合は、計算機の結果そのものを疑ってください。高く出ているのか低く出ているのかは、事案によって変わります。

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