このページの要点
- ご本人に自覚がないことが多く、ご家族が気づくけがです
- 認定を左右するのは、ご家族が書く日常生活の記録です
- 等級が1つ違うだけで、賠償額は大きく変わります
事故の前と、様子が違う。以前はできていたことができない。怒りっぽくなった。
ご家族がそう感じているなら、高次脳機能障害の可能性があります。
外から見て分かるけがではありません。ご本人に自覚がないことも多く、周囲が気づいて初めて動き出す事案がほとんどです。
高次脳機能障害とは
頭部への外傷で脳が損傷し、記憶や注意、判断といった働きに障害が残る状態です。
手足の麻痺のように目に見えるものではありません。会話も普通にできることがあります。
現れやすい症状
- 新しいことを覚えられない、約束を忘れる(記憶障害)
- 集中が続かない、二つのことを同時にできない(注意障害)
- 段取りが立てられない、途中で止まってしまう(遂行機能障害)
- 怒りっぽくなる、感情が抑えられない、こだわりが強くなる(社会的行動障害)
複数が重なって現れることが多く、症状ごとに整理して記録する必要があります。
ご本人に自覚がないことがあります
「大丈夫です」と答えてしまいます
障害の自覚そのものが失われることがあります。医師の問診でも、ご本人は困っていないと答えてしまいます。その結果、症状が軽く見積もられます。ご家族が同席し、実際の様子を伝えることが重要になります。
認定される後遺障害等級
症状の程度によって、次のように分かれます。
| 等級 | 状態の目安 |
|---|---|
| 別表第一1級1号 | 常に介護が必要 |
| 別表第一2級1号 | 随時介護が必要 |
| 3級3号 | 就労できない |
| 5級2号 | 特に軽易な労務以外は難しい |
| 7級4号 | 軽易な労務以外は難しい |
| 9級10号 | 就労に相当な制限がある |
別表第一の1級と2級は、介護を要する等級です。将来の介護費用が損害に含まれます。
等級が1つ違えば、慰謝料も逸失利益も大きく変わります。若い方ほど、逸失利益の差は大きくなります。
- 慰謝料・示談金の増額交渉
後遺障害慰謝料と逸失利益の考え方です
認定の判断で見られるもの
自賠責では、専門医で構成される部会が審査します。通常の等級認定とは手続きが異なります。
事故の直後の意識障害
救急搬送された時点で、どの程度意識を失っていたか。ここが最初に見られます。
意識のレベルは、JCSやGCSという指標で記録されています。後から作り直すことはできません。
画像所見
CTやMRIで、脳の損傷が確認できるかどうかです。
びまん性軸索損傷という損傷は、CTに写らないことがあります。その場合でも、事故の直後と時間が経ってからの画像を比べます。
脳の萎縮や脳室の拡大が進んでいれば、それが損傷の裏づけになります。
現れている症状
記憶や注意の低下を、神経心理学的検査で数値にします。
あわせて、日常生活にどう支障が出ているかを書面で示します。
意識障害がなくても、あきらめる必要はありません
よくある誤解です。
「意識を失っていないから高次脳機能障害ではない」と言われることがあります。しかし、意識障害の基準は審査の対象を選ぶための目安にすぎません。
障害が生じたかどうかを決める要件ではありません。画像上、脳の損傷が確認できる場合はどうでしょうか。意識障害が短くても、認定される余地があります。
ご家族が書く記録が、結果を左右します
高次脳機能障害の申請には、通常の等級認定にはない書類があります。日常生活状況報告です。
ご家族が、事故の前と後で何がどう変わったかを書きます。
「できない」ではなく、場面を書いてください
「記憶障害がある」と書いても伝わりません。いつ、どこで、何が起きたのかを書きます。買い物に行って何を買うか忘れた。同じ話を1日に何度もする。火を消し忘れた。こうした具体的な場面の積み重ねが、症状の重さを示します。
審査する側が、ご本人に会うことはありません。判断材料は書面だけです。
お子さんの事案では、通学先に書いてもらう学校生活の状況報告も重要になります。
事故の直後の記録が、あとで効いてきます
後から集められない資料があります。
- 救急隊の活動記録
- 搬送先での看護記録
- 事故の直後に撮影された画像
- 入院中の経過が分かるカルテ
診断書に「意識清明」と書かれていることがあります。それでも、看護記録には別の様子が残っていることがあります。
数値だけでなく、記録の中身を読む必要があります。
保存の期間には限りがあります。時間が経つほど、集められる資料は減ります。
高次脳機能障害の解決事例
実際に扱った事案です。金額は事案によって異なります。
弁護士に依頼すると、何が変わるか
高次脳機能障害の事案では、次の対応を行います。
- カルテ、救急記録、看護記録の取り寄せと精査
- 必要な検査と、その実施時期の助言
- 主治医への書面作成の依頼と、記載内容の確認
- 日常生活状況報告の書き方のご説明
- 将来の介護費用や、住宅・車両の改造費の算定
- 成年後見の申立てが必要な場合の手続き
ご家族の負担が大きいけがです。治療と生活を支えながら、資料をそろえて申請まで進めるのは容易ではありません。
非該当や、実態より低い等級が出ることもあります。その場合は、異議申立てや訴訟で争います。
- 自賠責保険への異議申立
認定結果に納得できない場合の進め方です - 裁判・紛争処理センターの利用
訴訟で等級を争う場合の進め方です
弁護士費用について
ご相談は無料です。ご家族だけでのご相談も承ります。
高次脳機能障害の事案は、複雑困難案件として別のお見積もりになる場合があります。ご相談の際にお示しします。
弁護士費用特約が付いていれば、自己負担を抑えてご依頼いただけます。
- 弁護士費用特約について
ご自身やご家族の保険に付いているか確認できます - 弁護士費用
費用の仕組みをご説明しています
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